設立してから黒字化までの経緯

設立以来赤字決算だったのですが、皆様のおかげでようやく黒字化することが出来ました。今までの経緯をご報告させて頂ければと思います。

2014年5月にスタートした委託販売サイトretro.jpですが、当初はダッチオークションサイトとしてスタートしました。

ダッチオークションというのは、オークションの逆バージョンです。
普通のオークションは、開始価格がセリによってどんどん上がっていき、最終的に一番高い金額を提示した参加者が落札して、購入することが出来ます。
それに対してダッチオークションとは、販売金額が時間と共に下がっていくので、一番始めに購入意思を明示した人が購入できるというものです。
なるべく早く買わなければ他の人に買われてしまうかもしれないのですが、待てば安く買えるかもしれないという特徴があります。

しかし、ダッチオークションは見事に失敗しました。
同時に大人数が見ている状況で進行すればまだ可能性はあるかもしれませんが、そもそもサービスを始めた当初は誰もサービスそのものを知らないし、全然使われなかったのです。
せっかくエンジニアに開発してもらった機能でしたが、3ヶ月ほどで終了し、普通のECサイトになりました。

こんな失敗しながらも、なんとかブランド品の販売サイトを開始したのですが、商品を揃えることが出来ませんでした。
販売するために一般の人から商品を出品して頂かなくてはならないのに、そもそも販売サイトに良い商品が並んでいないので、誰も出品してくれなかったのです。
個人的なつながりから知り合いに出品してもらうのですが、全然足りませんでした。
(設立当初に出品してくださったお客様には、今でも感謝していますし、足を向けては寝られません。心から感謝しております。この経験があるので、周りの人が何か新しいことを始めたときは、必ず出来る限り応援するようになりました)


そこで仕方なく、色々な仕入先から商品を仕入れて、販売サイトで売り始めたのです。
真贋にだけは気をつけていたのですが、人気の高い商品は安く買えません。
また、当社に信用が無いので、売るためには安くしなければなりませんでした。その結果、仕入れるためには高く買わなければならず、売るためには安く売らなければならず、儲けは全然ありませんでした。
それどころか、1万円で仕入れた商品を9000円で売るということも良くありました。


この頃が一番苦しかったと思います。
でも、バイヤー経験者が仲間になってくれたり、最悪の状態にもかかわらず出資をしてくれる株主がいたりして、徐々にですが販売力が付いてきたのです。


売上は増えてきたので、次は仕入です。
仕入を他の業者と同じように業者オークションで仕入れている限り、個人商店から抜け出せません。
どうにかして一般のお客様から仕入れなければならないのですが、ここでもマーケティングのコンサルタントの人に助けてもらうことが出来ました。


出来る限り高く買い、出来る限り誠実に、お客様に満足して頂くことだけを考えてサービスすることによって、少しずつですが、販売力と仕入力がついてきたのです。

話がそれますが、実は設立以来ずっと、株式会社retroは、通販サイトの制作や、受注処理などの運営業務を請け負うという仕事をしていました。
そこに新規事業としてブランド品販売事業部を立ち上げたので、会社には2つの部門があったと言えます。

設立してすぐの頃は、ブランド品の売上はほとんどありませんでしたので、粗利の100%を制作部門が稼いでいました。

しかしブランド品販売部門が伸びることによって、粗利も人も半分ずつになったのです。
はじめは、「ブランド品の販売」も「通販サイトの制作」も業務の内容としては同じようなものですから、どちらの部門にも相乗効果があり、どちらも伸びていくと考えていたのです。
実際そういうことは多々ありました。
例えばデザイナーも、制作だけやっていると下請け仕事みたいになって飽きてしまうのですが、自社サービスも担当することで、自分の仕事がどんな風にサービスに役立っているのかを実感することが出来ます。
また、Webマーケティング(集客)面においても、他社事例を参考にして自社でもやってみるとか、自社で上手く行ったことを他社にノウハウとして提供したりすることができました。

しかし、20人ほどの小さい会社にもかかわらず、よく似ているとは言え厳密には違うことをしていると、どうしてもパワーが分散してしまうのです。
具体的に言うと、制作部門のWebディレクターと、ブランド部門のバイヤーというのは、能力的にも立ち位置としてもよく似てはいるのですが、やっぱり違います。

そこで、2018年の3月に、制作部門をこのまま続けていくよりも、もっと制作に集中して伸ばしていこうとしている会社に社員とクライアントを引き取ってもらった方が、みんなのためになると考え、GMOグループに譲渡しました。
譲渡後は、粗利が半分になり、人も半分になるのですが、家賃などの固定費はかわらないので、赤字が膨らむ計算でした。
事業に集中することによって売上を伸ばすという計画で、もし計画通り売上が伸びなければ、半年で倒産という状況でした。


これは大きな決断だったと思います。
受託か自社事業かという悩みはいつの時代にも、どこの会社にもある、普遍的な悩みだと思いますが、我々の場合は自社事業に集中することが非常に良い結果となりました。
幸い倒産は免れ、計画以上に売上が伸びたのです。

インターネットサービスは、データだけのやりとりだと伸び率も高いのですが、ものが動くビジネスモデルだといきなり10倍にはなりません。
例えばメルカリではブランド品を売っていますが、メルカリ自体は商品をやりとりしません。それに対して当社は商品を仕入れたり、真贋を鑑定したり、発送したりしているので、手間暇がかかるのです。

しかしながら、その分地に足の着いたビジネスです。

当社では新規顧客を追い求めて焼き畑農業的にスピードを重視するビジネスよりも、お客様がリピートして満足してくださることを追求しています。
積み重ねれば積み重ねるほど、売上も信頼もノウハウも積み重なっていく、ストック型のビジネスをしています。


もちろん、黒字にすることが目標ではありませんので、ここからもっと社会の役に立つ会社にならなければなりません。

お世話になった皆様にお礼申し上げると共に、仲間を探していますので、周りの人にこんな会社があると伝えて頂ければ幸いです。
また、少しでも興味を持って下さった方がいらっしゃれば、是非会社をのぞきに来て下さい。
お待ちしております。